フキノトウ

雨降りの一日、書斎に閉じこもっていたがなんとも暗鬱だった。
春先の雨は決して嫌いではないが、今日のように雨雲が厚く垂れこめた暗い雨降りは好きになれない。どこか気分が滅入ってしまう。

京都新聞夕刊の一面に「雨の啓蟄」という見出しでフキノトウの写真が掲載されていた。
「雨にぬれたフキノトウは浅緑色のつぼみを輝かせ」「里山に春の到来を告げている」となんとも風情ある記事なのだが、私が先日歩きまわった棚田の土手にはその風情ある姿を全く見ることが出来なかった。

3年ほど前までは棚田の土手のあちこちにフキノトウを見かけたのに、荒れ果て放置された土手ではいくら丁寧に探し歩いてもそのカケラもないのだ。
残されているのはイノシシが掘り起こし荒らし回った醜い傷跡だけだった。

こんな傷跡は幾つも残されていた。

3年前にフキノトウを撮ったこの場所も荒れ果てて見る影もなかった。

もう一度思い当たる場所のあちこちでフキノトウを探してみよう、春探しだ。