写真展を見に

遅い朝食を摂っていて大津市写真展覧会が開催中なのを突然思い出し見に行く。

作品をゆっくり見て廻る。作品を鑑賞していてあることに気付いた。この10数年必ず見掛けていた3人ほどの名前が見当たらないのだ。素晴らしい写真を持ち込んでいた人たちだったから選に漏れるということは無いはずだ。我も老い彼も老い、そんな時間が経過してしまったんだろうか。

カミサンと二人で見に来ていた時は、それぞれがお気に入りの作品5点をマークしていた。そして1点差し上げますと言われたらどれを頂くかと話し合ったものだが、今回は独りぽっち。それにおっ!と立ち止まってしばらく眺めている作品がないのだ。これも我も老いて感性が劣化してしまっているからだろう。カミサンがいたらお好きな作品五点をメモしていただろうか、ふと寂しさがよぎる。

お気に入り1点差し上げますと言われれば手を上げた物があった。藤本義隆さんの「穴窯焼成当番」(びわ湖大津館校協会会長賞)だ。

この作品を眺めながら、作者の藤本さんが切り撮った老いた窯守りの穏やかな顔からいろんなことを思い出していたのだ。もう半世紀も前のことだが、ある事で、小久慈焼、相馬焼、益子焼九谷焼越前焼信楽焼常滑焼、立杭焼備前焼大谷焼砥部焼、有田焼、薩摩焼などの窯元を訪ね歩いたことがある。そんなある時、瀬戸の小さな窯元で茶碗や皿を窯から取り出しているところに出会ったことがある。この時の老爺も写真の人のように穏やかな風貌をしていた。窯の中には商品の焼き物以外に、老爺が楽しみで焼いているという織部風の小皿やそば猪口があった。自分の日用使いのものだと言っていた。帰るがけにその内の角皿を一枚貰ったことを思い出している。