老いのかたち(19)

探し物のため書棚を掻き回していて、金色の金属製のしおりを挟み込んだ本を見付け取り出す。
本は随分昔に読んだサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突と21世紀の日本」・集英社新書
金属製のしおりの頭が見えなければ取り出さなかっただろうが、いっとき愛用していたしおりが眼についたので手にしたのだ。

パラパラと頁をめくっていて、京都へ出掛けた折のランチタイムに時々利用するとんかつ屋さんの箸袋の断片が挟んであるのを見付ける。
その箸袋の裏面には、”時間の使い方はそのままいのちの使い方になる ” ノートルダム清心学園名誉学長 渡辺和子 と走り書きされていた。
思い返してみるに、ジュンク堂書店に立ち寄った際に眼にしたものをとんかつ屋さんの箸袋に書き込み、手許の本に挟み込んでいたのだ。

偶然にも取り出した本に挟み込まれたメモは、呆け暮らしを続けている我が身に突き付けられた文言だと思いながら、時間の使い方はそのままいのちの使い方になる と繰り返して呟いていた。

老いのかたち、それはまさに ”いのちの使い方”によって決まるのだ。


ボケ防止のためと気分転換のためにRAW現像をする。