十六夜の月

日中は三十五度近い炎暑、琵琶湖から吹き上がってくる風が書斎を通り抜けると少しはしのぎやすかったが、雑事をするにはやはりエアコンが必要だった。
今は十六夜の月が出ている。
窓を全開にして月光に輝く琵琶湖を眺めている。

テラスの床の熱が冷める夜半に、寝ゴザを待ちだして寝転がり、月や流れる雲を眺めるのも一興だと思ったりしている。

月光と言えば、「月光浴」という石川賢治さんの写真集が思い出される。
河原町ジュンク堂書店で初めて見たとき、その素晴らしさに息を飲んだ。
月の光だけで撮った風景は、神秘さ、静寂、冷涼感、孤独感,さまざまな感情が感じられた。

遠い昔の子供の頃、母親が月夜の夜遊びを遅くまでしていた妹たちに、月の光には魔物が棲んでいるから早く家に入りなさいと叱っていたことを思い出している。
あの頃の田舎の村には外灯もなく、家々から漏れる明かりも薄暗かったから、月の夜は月が煌々としていて「月光浴」の写真集のようだった。

私も満月の夜にカメラを持ち出せるような風景をロケハンしてみよう。
それに青光に表現するためのフイルターや現像のことも調べねばなるまい。
フイルターはブルーハンサーでいいのだろうか。

今日の庭に来た虫たちは、クロアゲハ、キアゲハ、コミスジヒカゲチョウ、カマキリの幼体、とかげ。
そして蛾の仲間