竹生島遠望

啓蟄の日から一週間近くが経っているのに、老兵は未だ冬眠中という状態が続いている。
冬眠から目覚めなければならないのだが何かしら万事億劫なのだ。

七時過ぎに起きだした時雪景色を眼にして、冬眠状態に区切りを付けようとカメラを持ち出す。


定点観測的にレンズを向けている新旭(高島市)の浜から今津・深清水の柿畑が目的地だったが、柿畑へ向かうのは諦める。

一昨年まで乗っていた四躯で車高の高い車だったら湖岸の雪道もあまり苦にならなかったが、コンパクトカーにした現在では何とも言えず心許ない感じなのだ。
少し深い轍の跡などに入ると、車体の腹を擦ったりハンドルをとられる。
それに老兵の運転技術も劣化しているのだ、雪溜まりの道の運転が怖くなっている。

雪の柿畑からの竹生島遠望、そんな思いも果たせずに帰る。
新旭の浜の倒れた楊が全身に雪をまとっている姿を撮るためには、雪の消えない早朝が狙いだが、早朝にも大雪の日にも出掛けてくることが叶わなくなっている。
寂しい限りだ。