冬籠り

年老いた熊が穴の中で躯を丸めて冬眠している、こんな情景を想像しながら終日呆けていた。
それも元旦から今日まで続いているのだ、その上こんな状態が暫くは続きそうな感じなのだ。
今朝、七時に目覚めて書斎のカーテンを開け、日の出を見る。

2・3年前までだったらこのまま起き出して朝焼けの湖畔を撮りに出掛けただろうに、年老いた熊が一瞬目覚めたがまたごろりと眠りに入るように、寝てしまった。

怠惰な暮らしに区切りを付けるためにも、初詣の時ある神社の手水舎の軒裏で見付けたドロバチの巣を再度見に行ってみよう。

古い巣の上に新しく巣が増設されたようにも見えるのだ。
巣の中はどんな状態なのだろうか、越冬中のサナギがいるのだろうか。

冬籠りから目覚めて虫撮りを再開しなくては本当に呆けてしまいますよ、自問していた。
アズキと三温糖ともち米を手に入れているのだ、自分好みのおはぎ作りもやらなくては。
 
時雨が通り過ぎた後に陽がさすと書斎の窓から伊吹の白嶺が見えた。
ふと、今の自分の状況に似た句があつたようだと思いだしWebで調べてみる。
 折々に伊吹をみては冬ごもり    芭蕉
芭蕉は何処で冬籠りをしていたのだろうか、大津の幻住庵だろうか、幻住庵から方角的に伊吹山がみえるのだろうか、いろんな事を想像していた。