かめのぞき

読書の途中あまりの眠さに座椅子の背もたれを倒し横になる、そのまま寝入ってしまった。
2時間ほどの長い午睡、書斎の窓は開け放っていたが目覚めた時薄っすらと寝汗をかいていた。
呆け放ちにと庭に出る、ナツアカネだろうか10数匹のトンボの翔ぶのを見る、こんな光景は今年の初見だ。
庭の片隅のアジサイを見ていて、ふと、学生時代の友人だったSさんのことと「かめのぞき」という言葉を思い出していた。

藍染の色に「かめのぞき」という藍染のもつとも淡い色合いがあること、藍染は布や糸を何度も藍甕に浸しては取り出し浸しては取り出す作業を繰り返すことで色を濃くしていくこと、かめのぞきはその最も初期の工程で仕上げたもの等など教えてくれたのがSさんだったのだ。

ご存命ならば80歳半ばのはずだ、どんなおばあさんになっているのだろうか。