蝸牛の歩み

道端で見付けたカタツムリを持ち帰り玄関先のアオキの下に置いたのは8日金曜日の午後。

翌日の朝見た時はまだ石の上にいたが、昼過ぎに外出から帰ってみた時には姿を消しており、探してみると石から少し離れた落ち葉の下にいた。

冬空の下でカタツムリが活動をしているのを見たことがないことから、このカタツムリも落ち葉の下に潜り込んで寒気をやり過ごすのだろうと一人合点し、その後はカタツムリのことを思い出すこともなかった。

それが今朝、階段の石垣にカタツムリがいるのを見付けたのだ。
紋様や大きさから見て落ち葉の下に潜り込んでいたヤツに違いない。

元居た落ち葉の下からここまでは最短距離でも3m近くあり、そこは玉砂利が敷かれている。
落ち葉の下からブロック塀に登り、塀に沿って移動してきたとすると5mを超える距離だ。
此処までどうやって来たのだろうか、行動はいつ開始したのだろうか。
物事の遅々として進まないことを喩えて「蝸牛の歩み」などというが、実際のカタツムリの移動のスピードはどれ位なんだろうか。
いろんな事を想像していた。

そんな思いの中で、民俗学者柳田国男の「蝸牛考」という著作のあることを思い出していた。
いつだったか、国会図書館近代デジタルライブラリーで蝸牛考を拾い読みしたことがある。
拾い読みした内容の詳細は忘れてしまっているが、カタツムリの呼び名を日本各地から拾い集め、名前の伝播の仕方や由来を論考したものだったような記憶がある。

ボケ防止のためにデジタルライブラリーをもう一度覗いてみるか。
蝸牛の歩みのような読み方でもいいのじゃないの、自分に言い聞かせていた。