野の佛たち(2)

一日延ばしに延ばしていた写真展用のプリントの最後の一枚をやっと仕上げた。
思うような色調にならないとついプロラボに頼めばよかったのでは、と思ったりもしていたが、自分で全てやるから面白いのじゃないのと自分を慰めている。

プリントアウトが全て終ったのを機会にバックアップしていないデータを外付けHDDに移すことする。最近又もデスクトップPCが不安定なのだ。

そんな作業をしていて野の佛を見つけた。

先日の権現谷での虫撮りの折に撮ったものだ。
野仏一体と石塔二基が獣避けのネットで囲われた棚田の上の山際に安置されていた。
この野仏たちをファインダー越しに見ながら、旧い知人S(故人)さんと彼の作品「野の佛たち」のことを思い出していた。

彼の作品雪を被った野仏やれんげ畑の中の佛たちは素晴らしかった。
中でも降りしきる牡丹雪にストロボ光を当てて切り撮っていた野仏の写真は今でも眼に焼き付いていて、こんな写真が撮りたいと思い続けているものの一つだ。
野の仏という平凡な被写体でも季節や気象条件、それに構図を考えて撮れば見事な作品に仕上がるのだと教えられていた。

獣避けのネットに囲われているから近づくことが出来ないが、この野仏たちも気象条件や構図によっては面白いのではと思ったりしていた。
それにしても何処へ行っても獣避けの電気柵やネットが続いているものだ。