キジの夫婦を追いかけて

路肩に車を停めた時、遠くからキジの甲高い声が聞こえてくる。幸先良しと田んぼ道をゆっくり啼き声の方へ、草に足を取られて転びそうになったこともあって、老爺は随分と用心深くなっているのだ。キジは農道の横の畦にいた。

母衣打ちの後、老爺が少し近づいたのをきっかけに、コヤツは急に田んぼの中へ走り出し段差のある一段下の田んぼに姿を隠した。キジの走りが速いのは承知しているが、今日の走りはおっ!と思うほどの速さ、驚いていた。

ゆっくり畦道を歩いていて「蓮如上人御影道中」の一行を眼にした。真宗本廟京都市)から吉崎御坊へ向かう途中だ。確か7日間の行程。京都からだと通り過ぎていく一行は2日目だろうか。今日は何処まで行くのやら。

信心深い人だったら遠くからでも手を合わせ南無阿弥陀仏と唱えるのだろうが、無信心な老爺だ、ファインダーを覗いていた。

母衣打ちをしたキジが向かったであろう場所を予想して畦道を行く。ヤツはやはり居てくれた。

近づいて見ると思いもよらぬ光景を見た。キジの夫婦が並んでこちらを見ているのだ。

数ショットした後しばらく眺めていると、メスが先ず動き出し続いてオスもメスとは反対の方角へ向かった。

メスが草むらに消え、次に見た時は金網の柵を越えた向こうの農道にいた。カメラを持ち直す間もなく向こうの田んぼに飛び降りていった。オスを1ショットしてメスを探しに田んぼ道を大きく迂回する。

辿り着いてみるにメスの姿は見当たらずだ。600mmにズームアップして野面を丹念に探していて、カワラヒワの草むらに隠れているのに気付く。かなりの数がいるようだ。次から次から飛び出しては直ぐ先の草むらに降りる。降りてしまえばもう見つけることは出来ない。飛立つ瞬間を狙って数撃ちゃ当たるで連射だが、敏捷さに欠ける老爺が得たものは全くの無しだ。僅かな1枚。

カワラヒワの後、これまでに見たことのないヤツを見た。googleレンズで検索してみるとノビタキとあった。ノビタキのメスのようだ。

夏の渡り鳥、「ヒリーリーフューチャー」などと聞こえるさえずりはフルートの音に例えられ、美しい、と手元の野鳥図鑑に載っている。そんな声を聞く機会があるだろうか。もう一度出会いたいものだ。

本日好天。いい一日だった。親子丼が食いたくなっていたのでスーパーに寄る。親子丼、なめこの味噌汁、ししとうのアンチョビ炒め、なすの浅漬、それにイチゴ だ。