母衣打ち

今日はいつもよりかなり早く朝のフィールドへ行く。狙いはキジの夫婦連れだ。キジの繁殖期に入ったから寄り添って畦道を歩く様子、オスが前になり後ろになりしてメスをエスコートしている姿、並んで土塊の間から餌を探し出し啄んでいる様子、そんなシーンを出来るだけ至近距離から狙いたい、そんな思いを持ち続けているからだ。

今朝もフィールドに足を踏み入れて直ぐ夫婦連れを見つけたが、残念ながら遠い場所、しかも間無しに草むらに姿を隠してしまわれた。

夫婦連れで畦道をこちらに向かってやって来るキジの夫婦、こんなシーンが撮れるのはいつのことやら。田に水が入り畦道が一本道になると見られるだろうか。

キジの夫婦連れを見失った後三脚からカメラを取り外していて、遠くにキジのオスがいるのを見る。コヤツも近くの何処かにメスを連れているかもしれないと畦道を急いだ。

コヤツの後を追いかけて1時間近く田んぼ道を歩いた。キジのように田んぼの中を歩くこともならず、また小さな用水路を飛び越えることもならずだったからしばしば遠回り、老爺にはいい運動になった。メスを同伴している様子はなかった。追いかけている間3度ほど母衣打ちを演じてくれた。そのうちの1シーンは正面からの母衣打ちだった。

この母衣打ちが最後だった。母衣打ちが終わった後、いよっ!千両役者と声を掛けたくなるほど堂々とした佇まいでヤツはこちらを見ていた。随分時間が経ってから畦道を通り塒と思える方へ引き上げていった。

キジのいる上の草むらにカヤやセイタカアワダチソウなどが繁茂していた頃(4年程前)、ここでメス同伴でいるところや斜面の土の上で砂浴びしているところを何度も見掛けた。元の畑にするため根こそぎカヤなどが取り払われてからは、老爺が楽しみにしていたこんなシーンを見かけなくなった。耕作放棄地のAブロックと名付けていたここに数年前の面影はない。

本日好天。明日は雨のようだ。小さな谷間の向うの段々畑の耕作放棄地の草むら、アブラムシのコロニーはその後どんな状況だろうか。気になっている。雨上がりの後出掛けてみるか。