初冬のアオバハゴロモ

擁壁に這うツタの落葉も11月の半ばまでと違って随分少なくなった。
階段の石垣にしがみ付くように僅かに残っていたツタの葉も、昨夜の時雨に落とされてしまう。
一つの季節が終わったのだ。

買い物の荷物を運び上げていて、小さな落ち葉の上にいるアオバハゴロモを偶然見付ける。
師走に入ったこの時季にアオバハゴロモを見る、驚きだった。
荷物はそこそこにして急いでコンデジを取り出す、小さな虫を見つけたのが何とも嬉しかったのだ。

初夏の季節、ITOUさんの菜園のイチジクの木やタラの新芽に一列に並んでいるのをよく見掛けたものだ。
一列に並んでいるところを草の茎などで最後の一匹から順番に触れていくと、ピン、ピン、ピンと跳び出していくのだ、そんな悪戯も面白かった。
それにしてもコイツの活動期は10月の中旬くらいまでのはずなのに、初冬のこの時季に見るとは。

ツタの枯葉の上から下りたヤツを捕まえようと指先を近づける、初夏の頃のように勢い良くピンと跳躍していった。

童心に還った老躯の一瞬だった。
冬日好天なり。