蓑虫

今日は人間ドック受診の日、小雨の降る中少し早めに家を出た。

人気のまばらなロビーの椅子にもたれ小さな中庭を見ていて、柱にルリタテハらしきものがいるのを見付ける。
ガラス越しに見る限り越冬中のルリタテハと思えた。
受診の間中、このルリタテハのことをいろいろと想像していた。
全ての検査が終わった後、重いガラス戸を開けて中庭に出てみる。


ルリタテハと見えたものはルリタテハではなく、蓑虫だった。
木の葉を巧みに纏った姿から察するに、オオミノガよりもニトベミノガの蓑虫ではなかろうかと想像していた。
中庭は周囲を4階建ての病棟に囲まれている、小さな蛾にすればそこは深い谷間の中のはずだが、ここまでどうやって来たのだろうか。
それとも植栽された木にくっついていたものが世代を重ねてきたのだろうか。

胃の検査は鼻からの内視鏡で申し込んでいる。
胃カメラは口からよりも鼻からのほうが苦痛が少ないということで申し込んでいるのだが、何度やっても慣れることはなく、毎回かなりの苦しさを感じていた。

そんな苦痛だったことも蓑虫の姿を見たことで忘れること出来た。