山鉾巡行

四条通を歩いていてある人形屋さんのショーウィンドウで祇園祭の山鉾のミニチュアが飾られているのを眼にした。

祇園祭の宵宮や山鉾巡行を撮って見たいという思いは随分昔から持っているのだが、未だ果たせずにいる。
それというのも、大勢の人混みに入ってゆく勇気がないのだ。
雑木林や棚田の土手で一人ぽっちで虫撮りしている人間には、人の多さが苦手なのだ。

ショーウィンドウの中の山鉾巡行を暫くの間眺めていた。
山鉾巡行を撮る為のいろんなシーンを想像しながらその想像の世界を楽しんでいた。

呆けたようにショーウィンドウの中を覗き込んでいて、ミニチュアの山鉾が突然動き出し聞き慣れた鉦や囃子の音が聞こえてくる、そんな幻覚もまた良しとすべきだろう。
これも本物の山鉾巡行を撮りに出られない老兵に許されている楽しみの一つなんだから。