呆けた一日

雨が降ったり止んだりのどんよりとした一日だった。
終日呆け暮らしが続いていた。
呆け覚ましにと思い、井波律子さん(国際日本文化研究センター名誉教授)の随筆集「一陽来復」を書棚から取り出す。

呆けてざらついた気持ちを鎮める時には、井波さんのこの「一陽来復」や杉本秀太郎さんの「青い兎」などを不思議と読みたくなるのだ。

これらのエッセイを読む時は、いつものスピードを上げた読み方と違って妙にゆっくりと文字を追っている。
自分でもそんなゆっくりとした読み方をしていることにおやおやと思うことがある。
意識してゆっくり読むと言うよりは、手練の書き手が創りあげる文章が急ぎ足で読むことを許さないのだ。

一陽来復」の各章には中国古典から引用された詩文が載せられている。
それをまず目で追い、それから口に出してゆっくりと読む。
日々の読書は黙読が全てだから声を出して読むと、時折吃りそうになる。
音読は結構大変な作業だ。
だから呆け暮らしをやり過ごすのにはいい薬なんですよ、自分に言いきかせていた。


一昨日羽化したアゲハは昨日瀬田キャンパスへ出かける前に放してやった。


もう一つのサナギは今も羽化の気配がない。