雑木林にて

比良山麓の雑木林へミツバツツジを見に行って来た。

ミツバツツジに蝶が来ていることを期待して行ったのだが、陽射しの明るい割りには肌寒い感じの雑木林、蝶の吸蜜を見ることは出来なかった。
かろうじて見付けたのは林辺の枯れ草の上にいたベニシジミだけだった。

お弁当も持参ですから虫撮りよりも日頃の運動不足を解消しなさいよ、と自分に命じて雑木林の中を歩き回ることにする。
歩き回っていて意外なものを見る、檻にシカが入っているのだ。

捕獲用の檻が雑木林や棚田の放棄田などに設置されているのはよく見かけるが、動物が捕まっているのを見たのは今回が初めてだった。
シカや猪による農産物への被害が相当の額になっているようだから捕殺もやむを得ないのだろうが、こんな囚われの姿を見ると痛々しくなる。
滋賀県では年間13.000頭のシカが駆除されると聞くが、捕殺されたそれらはどんなふうに処分されるのだろうか、全てが食肉に利用されるとも思えないのだが。
檻から出ようと暴れ廻っているシカの姿を見続けることも出来ずその場を離れた。

命を繋ぐために他の生命を頂く、これは自然の道理として受け入れねばならないが、檻に囚われたこんな姿は余りにも非情だ。
酷い気がする。
野生と人が上手く共存出来る方法はこの雑木林にはないのだろうか。

雑木林のはずれでヤチガガンボとアリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)を見る。


囚われのシカを見た後だけにこれらにレンズを向けているとホッとしていた。


アリジゴクの側の地面に腰を下ろし持参のサンドイッチで遅い昼食を摂る。
全く人気のない雑木林だ、陽射しがもっと暖かければ草叢に大の字になって昼食の後の昼寝を楽しみたいところだが、いかんせん寒かった。