初冬の雑木林

龍谷大瀬田キャンパスの近辺では「龍谷の森」と名付けられた雑木林が広がっている。
瀬田キャンパスが出来た頃は管理放棄された荒れ放題の雑木林だったようだが、今では里山学の為の研究フィールドになっていることから、手入れの行き届いた雑木林になっている。

講座(こころの仏教・唯識思想入門、講師・那須彦龍大非常勤講師)の終わった後、この雑木林に潜り込んでみた。

下草も刈られ枝打ちもされた里山は昔の里山のようにも見えるのだが、少年の頃見ていた里山とはどこか違って感じられる。
記憶にある里山里山全体が今よりもっと明るかったし、人が行き来して出来た道が綺麗に山肌にも谷筋にも残っていたが、今では僅かに人の往来の古い痕跡が見てとれるだけだった。

それと今見ている雑木林の木々はひょろっとして背が高いのだ。
昔の里山薪炭にすることもあり間伐がしばしば行われていたから、林の中に若木が多く混じっていた。
ここでは間伐がされていないのだろう、間伐の跡地に生えてくる若木や背の低い木々が全く見当たらないのだ。

雑木林の中を小一時間歩き廻った。
初冬の雑木林で虫の声を期待していた訳ではなかったが、鳥の声も聞こえなかった。
聞こえてくるのは頭上の木々の梢を揺るがせる風の音だけだった。
誰もいない雑木林の中を一人歩き廻る、久しぶりの楽しい時間だった。