ナツグミの花

たかだか5枚の写真のRAW現像とプリント作業にほぼ半日かかってしまった。
出来上がりに満足できないところが未だあるが、とことんやるだけの集中力を欠いているのだ。
仲間たちとの年に一度の写真展という言わば晴れの舞台なのだから、全力を上げて作品作りをしなければならないのに、老来万事に物憂く、そんな状態で作業を進めていた。
プリントを終わってヤレヤレというかホッとしていた。

プリント作業を終わった後、気分転換の為にPUKUさんと長い散歩に出る。
小さな谷間の土手でナツグミが沢山の花を付けているのを見かけた。

初夏になると小粒な実を付ける。

現在のように豊富にお菓子類があるような時代では無かった私の子供の頃、このグミの赤く熟した実は格好のおやつだった。
ガキ大将やワンパク達はそれぞれが新聞紙を折って入れ物を作り、競い合ってこのグミ(私の育った田舎ではこれをシャシャブと言っていた)を採った。
収穫量を自慢し合いながら、一粒ずつ貴重なものを食うように口に入れたものだ。

ナツグミの花を撮りながら遠い昔の風景やワンパク仲間たちのことがフラッシュバックしていた。あの頃の仲間は何人が健在だろうか、音信が途絶えて半世紀以上がすぎている。

今日の虫撮り