雲水さん

佛教大四条センターでの講座の帰り道、河原町通三条の交差点で足早に横断歩道を渡っていく雲水さんを見かけた。
急いで背負っていたザックからコンデジを取り出すが、あっという間に人混みに隠れてしまう。

雲水衣は黒に近い濃紺、網代笠も風雨にうたれた様子のない色なのだ、新到さんだろうか

網代笠を胸元に抱えていたから頭陀袋に書かれているであろう僧堂名は判らなかったが、三条大橋の方へ向かっているところから、南禅寺専門道場の雲水さんかなと想像していた。

雑踏の中で、耳朶にエッと思うほどのピアスをつけたり、鼻にまでピアスを嵌めていたり、腰に犬の鎖みたいな物をぶら下げていたり、物凄いアイシャドウをしていたり、というふうな若者をしばしば見かけたりして一瞬眼を逸らすことがある。
自己主張のためにどのような格好をしようとその人の自由だとは思うが、老兵には何処か気持ちが悪いのだ。
その点足早に去っていった若い雲水さんの姿に安らぐものを感じていた。

若い雲水さんを発心させたものは何だったのだろうか。
濃紺の雲水衣が薄い紺地になり、網代笠の縁が擦り切れて毛羽立っ頃にはどんな風貌になっているのだろうか。
修行の辛さに布団に潜り込んでむせび泣くこともあるのだろうか。

雲水さんの托鉢に廻る姿を撮りたいと思いながら未だ果たせずにいる。