縄文のヴィーナスを見に

MIHO MUSEUM(甲賀市)へ「土偶・コスモス」特別展を見に行って来た。
今日から国宝土偶全4体が初めて勢揃いするのだ。

久しぶりにドキドキするものに巡り合えた、そんな思いで丹念に見て歩く。

美術展や写真展を見て歩くことも多いが、4・5年前辺りから、感動したりドキドキすことが無くなっている。肉体の老化以上に感性が摩耗しているのだと悲しくなっていたが、今日の土偶展は
長い間忘れていたものを蘇えらせてくれた。

縄文時代草創期(13,000年前)頃から土偶は作られ始めたという。
縄文人土偶にどんな思いや祈りを込めて作ったのだろうか。

長野県棚畑遺跡出土の「縄文のヴィーナス」(国宝)の膨らんだ腹部と丸々としたお尻を見ていると、豊穣と多産を祈った造形と言われる以上の意味合いが、そこに込められているのではないかと感じられるのだ。

この土偶は環状集落の中央広場から完全な状態で出土したという。
非常に重要な意味を込めて中央広場に埋められたのだろう。

その広場でどんな祭祀が営まれたのだろうか、どんな楽器が打ち鳴らされ、どんな歌が歌われたのだろうか。祭祀は昼間だったのだろうか、夜だったのだろうか。どんな酒や供物が並べられていたのだろうか。集落の人数は何人位だったのだろうか。
いろんな事を想像していた。

縄文時代に関して持っている知識を総動員しながら土偶を見て回る。
イマジネーションを膨らませる楽しさを本当に久しぶりに味わっていた。

青森出土の「合掌土偶」(国宝)や遮光器土偶からもいろんなことを想像していた。
中でも「縄文の女神」(国宝)と名付けられた土偶の見事なプロポーションを見ていた時は、その場を離れたくない思いだった。