雪虫

終日どんよりとした曇り空が続き、湖上も霞っている感じで沖島も対岸の長命寺山も見えない。
日中でも薄暗いこんな天候は老兵にはたまらなく嫌な天候なのだ。
何処かに閉じ込められたような気分にさせられるからだ。
一日中呆けていた。

夕方の散歩で雪虫を見る。

北国ではこの虫が飛び交うと雪が近いという俗信があるようだ。
白い綿衣を身に着けてふわりふわりと舞い飛ぶこの虫を見ていると、確かに小さな雪片がゆっくり降って来るようで、まさに雪虫という名がふさわしい。
地上に落ちた淡雪がたちまち消えるように、この雪虫も羽化して繁殖行動をした後直ぐに死んでしまう非常に短い一生のようだ。
一瞬の命、それも命だ。

雪虫の飛翔体を狙ってみたものの、体長5㎜弱の雪虫だ、老兵の視力では難しかった。