老いのかたち(6)

シルクロードの文化と仏教 −華厳経とその背景ー」(講師:蓮池利隆・龍大非常勤講師)の第3回目の講座の日だ。(先回の講座は遠出のためサボってしまった)

今回の講義は「七処八会と天界上昇(正覚金剛座からの天界への上昇)」というタイトルで、「華厳経」の概要説明とゾロアスター教の啓蒙書「アルダー・ヴィラーズ・ナーメ」に書かれている冥界旅行の内容とを比較するのだ。

今日の講義はとても疲れる講義だった。
若い時は貪欲にどんなものでも喰っていたが、歳ふると共に嗜好の幅が狭くなっているのだ、不味いと思うともう受け付けない。好き嫌いが年毎に激しくなっている。
今回の講義内容も私の味覚に合わなかった。

私の左斜め前の席に小柄な老婦人が座っている。
深草キャンパスでの別な講座でもよく見かける人だ。
少し足の悪いその人は教室へは一番に来るのか、いつも定位置に席を取っている。
そして講義の始まるまで持参の本を読んでるのだ。
また、いつ見ても真剣に聴講しているし、メモもかなり速いスピードでとっている。
どんな経歴の持ち主なんだろうか、いろんなことを想像させられるのだ。

私よりも3・4歳上ではないかと思われるその人を見ていると、半分居眠りしながら受講している自分が恥ずかしくなる。

 ”老いのかたち”にもいろんなかたちがある。
備中松山城で見かけた老夫婦や目の前で熱心に講義を聴いているこの老婦人のような、一日一日を大事にしている生き方を心がけたいものだ。
「明日地球が滅びようとも今日リンゴの木を植える」それが人生だろう。

朝の散歩でクモ3態を撮る。