ツワブキ(石蕗)

生垣の間からツワブキの黄色い花が沢山顔をだしているお宅が在る。


ツワブキの花はもう随分昔から見てきているのに、蝶が来ているのを見た記憶がないのだ。
ツワブキは有毒物質を持っていると聞いたことがある。だから虫たちの飛来はないのだ、そんな風に長い間思っていた。
それはとんでもない思い違いだった。

昆虫写真家海野和男さんの今日の「小諸日記」でツワブキに来たムラサキシジミの写真を拝見し、おやっと思った。蝶が来ているのだ。
急いでgoogleの画像で検索して見ると沢山の写真が掲載されているのだ。

「お前さん何年虫撮りしているの」自嘲する以外になかった。


  蝶ひとつとばぬ日蔭や石蕗の花   宝井其角

其角(蕉門十哲の一人)が見ているこのツワブキの咲いているのはどんな情景なんだろうか。
其角さんはツワブキの花に蝶たちが来るのは百も承知しているだろう。だが今見ているツワブキは日蔭に咲いているのだ、しかも初冬の寒々とした日だ、だから蝶がひとつとして来ていないと言っているのだ。
この句はどこかに悲しみを持った心象風景のようにも思える。

ツワブキの有毒物質はアルカロイド系のピロリジシンアルカロイド、肝臓に障害を起こすようだ。


葛の葉の上のあのヒラタグモの巣作りは全く進んでいなかった。