夏草の荒々しい庭

散歩の途次必ずといっていいほど立ち止まり覗きこむ場所がある。
もう随分長い間放置されたままの空き家の庭だ。

今朝早く散歩に出た時この庭の門扉の内側にキアゲハが止まっているのを見つけた。
逆光の中にいるキアゲハの羽が燦めいて見えるのだ、それに貌のシルエットも素晴らしい。
夏草の荒々しい庭を背景に入れて門扉の上部から羽の一部を出しているキアゲハを広角マクロで切り撮る、それが狙いだったから腰をかがめ用心しながら近づいたが逃げられてしまう。

この荒れ果てた庭は何年も草刈りがされたことはない、今年も草刈りがされることはまずないだろう。それだけにキリギリス、バッタの類、コオロギ、コガネグモなどいろんな虫たちを見かけるのだ。クモの巣一面に水滴がつきキラキラ輝いているのを見たこともある。夏草の上にいるナツアカネを見たこともある。しかしそこは開かずの扉に守られた庭なのだ。

昨日一日呆けていた時間を取り戻す為に6時にはPUKUさんと散歩に出た。
先日の一斉草刈りの折の難を逃れるかのように、オニユリと露草の混在する草叢は残されている。何処かホッとした気分だ。
露草の花が咲き誇りオニユリが咲き始めるといろんな虫達に逢える、嬉しくなっていた。
今朝もその草叢で虫を撮る。

 イチモンジセセリ
 ハナムグリの仲間

ご近所の人には迷惑かもしれないがこの草叢もその周囲も、あの空き家の荒々しい夏草の生い茂る庭のように、刈り払われることの無いよう願うばかりだ。
自治会の仕事をしていた時は空き地の草刈りは徹底してやりましょう、などと声を掛けていたのに、今では逆のことを思っている、身勝手なものだ。