撮影行不発

平池のカキツバタ高島市今津)を撮りに行って来た。
現地着午前6時15分、旅行村の広場を抜け坂道を下った時あっ!となった。
小さな駐車スペースや路肩には20台近い車が並んでいるのだ。
他府県ナンバー(岐阜、三重、京都、神戸)の車もいた。

池辺のビューポイントには三脚の列だ。
平池へ向かう山道で下って来る車3台とすれ違った時、もう撮り終わって帰る人もいるんだなくらいに思いのんびりしていただけに、池の周りのカメラマンの人数にはドキッとさせられた。
祭り撮りの時などのカメラの放列には驚きもしないが、風景写真を撮るこの三脚の多さには怯えに似たものを感じていた。

一人で雑木林に潜り込んで、鳥の声や風の音を聞きながらのんびりと虫撮りをしている私には
カメラが沢山並ぶそこは異質な空間のように思われ、半ば戦意喪失していた。
戦意喪失の一端に撮ることへの準備不足があった。

そこに居るカメラマンの大半の人は背の高い三脚と脚立をセットにしており、また足拵えも長靴だった。アングルを考えると確かに脚立の上に立つ必要があるのだ。
このことを忘れていた自分に腹が立っていた、お前さんも老いたな、そんな思いだった。

20人近いカメラマンは殆どがデジ一眼だったが、大判カメラを据えている三人がいた。
一人は4X5判のように見える木製枠のカメラを三脚に載せていた。
ベローズを引き伸ばしレンズを下に向けている、上ティルトで狙っているのだ。
私は半分撮る気が失せていたから久しぶりに見る大判カメラの撮影風景を眺めていた。
デジカメの安直な撮り方に慣れてしまっている私は、シートフイルムを交換するだけでも大変だろうと感心していた。
後の二人はマミヤRZ67と645だった、どうも同じクラブの仲間のようだった。
年格好といい使い込んだと思えるカメラボディや三脚の痛み具合から見て、かなり年季の入った仲間のようだった。

七時少し過ぎるとカメラマンたちは皆帰り支度に掛かっていた。
早朝のカキツバタや冷涼な池塘の雰囲気を撮るには、もう光が佳くないのだ。
近い内にリベンジするつもりで私も帰路についた。

帰ってからうまく撮れ無かったことをカミサンにぶつくさ言っていると、厳しいパンチが返ってきた。
「五時起きでは駄目ですね、本当に朝の光が欲しいのなら三時半起き、現地で五時には三脚を立てていなければ。今は四時過ぎには明るいのですから」と。

次回は三時半起きだ。雨の日もいいかもしれないと思ったりしている。