木守柿

ご近所のMさんの庭には大きな柿の木があり、毎年時期になると沢山の実をお裾分け頂いたが、2年ほど前からお相伴の楽しみがなくなっている。
柿の木が大きくなりすぎ、葉落としの頃にはお隣に迷惑になるという気遣いや高齢になって柿の木の手入れも十分に出来ないということから大きく枝落とししてしまったのだ。
新しい枝が何本も伸び出してはいたが今年も実は生らずだった。
来年はこの柿の木も実を付けるだろうかと楽しみにしていたが、一週間程前その木がバッサリと根元から切られてしまった。

それと前後するようにMさんが入院されたことをカミサンが聞いてきた。
訪問介護や入浴支援それに点滴などのサポートを受けられていたようだが、在宅では十分なことが出来かねる故の入院だという。

Mさんとはヨーガ教室に通う仲間だった。
人柄の穏やかな話し好きなMさん。Mさんの庭の柿の木。

柿の木が沢山の実をつけていた頃、Mさんは必ず柿の実を一個枝先に残していた。
木守柿なのだ。
その残される実は決まって柿の木でも一番大きな実だった。
木守の柿が熟し鳥が突っいた後の実にヒョウモンモドキの蝶が来ているのを見つけ望遠レンズを持ちだしたこともある。


蝶の来ていた柿の木を今はもう見ることができない。
       諸行無常
天気が好くなったら今津の柿畑を撮りに行ってみるか。
 木守の落つ道をゆくひとり影    風来坊