アヅチグモ

タカサゴユリの種を採取しようとしていて、種鞘に隠れているアヅチグモを見つけた。
寒空だったのに夏場と同じように敏捷に動きまわる。
カメラを近づけると素早く種鞘の裏側に身を隠す、コンデジで追いかけるのも容易でない。
夏場は花の上で獲物の来るのを待っているのをよく見かけたが、11月半ばのしかもムシなど来るはずもないユリの種鞘にいるとは。それにこのユリのある場所の近くにはなんの花もないのにどこからやって来たのだろうか。

タカサゴユリの種は北風が強くなると風に乗って飛んでゆくのだろう。
風に飛ばされやすい形の種を持つこのユリは、非常に繁殖力が強いユリだと言われている。
台湾固有種のこのユリが園芸用として輸入されから僅かな歳月で全国に分布し帰化したのも、この繁殖力と風に乗りやすい種の形によるからだろう。

思い返してみれば私がこの住宅地に来た頃はまだ半数ほどが空き地で、草刈りがなされていない空き地の多くには白いユリが沢山咲いていた。それがタカサゴユリだったのだ。

アヅチグモはタカサゴユリの種と一緒に風に乗って旅をするのだろうか、それとも種の失くなった鞘の中で冬籠りするつもりだったのだろうか。そんな空想を楽しんでいる。

明日は大雨のようだ、積ん読本を一頁でも多く片付けねば。