晩秋のタカサゴユリ

日陰になって肌寒くなり始めた庭の片隅に、タカサゴユリが一輪咲いていた。

季節外れのこの時季の白いユリは何とももの悲しい。

10年近くも前になるが、晩秋の山渓や廃屋を撮りに朽木(高島市)の奥を廻ったことがある。
その折にも、不意にやって来た時雨を避けようと庇を借りた山家の庭先で、花を付けたタカサゴユリの一叢を見た。
時雨に打たれている白いユリの一叢の風情は、凄まじく痛々しかったことを覚えている。

冷たい雨でなく初夏の日照雨などに打たれているのであれば、そこに初々しさも感じただろうが、朽木時雨と言われる冷雨に打たれているのだ、時雨のほの暗さの中のぞっとするほどの花の白さ。時雨の通り過ぎるまで見入っていたことを思い出す。


運転免許証更新前の高齢者講習を受けに近くの自動車教習所へ行く。

午後3時過ぎ草叢へ入る。
風の当たらない草叢の一角の陽溜まりでツマグロヒョウモンを見る。
風は冷たいが背の高いススキの中の小さな陽溜まりは温かい感じ、チョウの休息には格好の場所なんだろう。

近づくとチョウは翔び立ったが遠くまで翔ぶことはなく、すぐ先のススキに止まる。

虫撮りの時はチノパンやGパンなのだが今日はうっかりとコーデュロイのパンツだった、お陰で腰から下にはびっしりと草の実がくっつく。
払い落とすのに難儀した。
以前にも一度玄関先で大量の払い落としをしたことでカミサンに睨まれたことがあった。
広い草叢を歩き廻ったのに、見掛けたのはツマグロヒョウモン1頭、日向ぼっこしているアキアカネ3匹、何種類かの虫の声を聞くが姿は見えずだった。

まずは本日好日。