かたつむり

「蝸牛の歩み」という喩えがある。
遅々とした歩みのことだが、雨上がりの石垣などで這っているのを見たりすると、結構早い速度で動いていることがある。
タツムリの歩みの速度はいったいどれくらいなんだろうか。

こんな事を書き始めたのも、台所の窓の下の壁に見覚えのあるカタツムリを見つけたからだ。
このカタツムリは先日の佐渡旅行からの帰途、北陸自動車道の有磯海SAに休憩で立寄つた際にSAの林で見つけて持ち帰ったものだ。

持ち帰ったものは2匹。
帰る早々に玄関先のアオキの枝に水をかけてくっつけておいた。
翌日見たときは何処に隠れたのか2匹とも見当たらなかった。
それから3日程経ってから、カミサンがアオキの葉の先端にくっついている小さいほうのカタツムリを見つけるが、次の日にはもうそこにはいなかった。
大きいほうの黒っぽいヤツは木に止まらせた日以来依然行方が判らない。

黒っぽいヤツを再び見つけたのは6日目・12(日)の朝だった。
アオキの幹の2.5Mほどの高いところにいた。
しかし夕方に見た時にはヤツはもうそこには居なかった。
随分と丹念に探したが見つからない。
それが今朝・14日(火)、台所の窓下の壁に居るのだ。

昨夜は雨が降ったからカタツムリの移動には条件が良かったとはいえ、どうやってここまで来たのだろうか。
アオキの木の高みにいてそこから下りここまで来るには、少なくとも7m近くはある。
タツムリの体の大きさからすればかなりの距離ではなかろうか。
それに玄関先には玉砂利が敷かれているから決して平坦な道中でないのに。
タツムリの移動を意識したのは今回が初めてだ。

「蝸牛の歩み」
現役時代は何事にもスピードが求められ、また私もスピードを要求してきた。
走りながら考えろ、とよく言ったものだ。
それが今では「のんびり行こうよ」と蝸牛の歩みを自分に言っている。
のんびり行っていいの、残り時間は少なく、やりたい事は多いのではと自問したりもする。

何にも考えずに虫撮りにでも出掛けるか、明日は梅雨の晴れ間のようだ。