一瞬のキジ

三脚の一本を伸ばし杖代わりにして草深い畦道を横切っていた時、三区画ほど向うの田んぼの赤いトラクターの人が頭の上で手を振り、その後、手を二度ほど左方向に向けて合図をしてくれた。耳が遠くなった老爺に声は届かなかったが、その合図はキジが指差された田んぼにいるよということだ。赤いトラクターの人と名告りを交わしたことがないので、名前は存じ上げないが10年近い前からの顔なじみだ。

田んぼ道で出会うと「こんにちは」とか「今日はいい天気ですね」とか、「田植えはいつ頃始めますか」など簡単な会話をするくらいだったが、私がキジ撮りをしていることを知っているようで、「朝方あの葦原の近くでキジのつがいを見たよ」などと色々とキジの情報をくれたものだ。(キジの情報をくれる人がもう一人いる。この人は軽トラを飛ばしてキジの情報をわざわざ届けてくれほどの人・老爺)

指差された田んぼへ向かい探していると、荒起こしの終わった田んぼにキジはいた。1ショットする間もなく、キジは土塊の間に身を潜め、段差のある隣の田んぼ下に姿を消した。

キジが再び姿を現すことはなかった。フィールドを歩き廻ったが一瞬のキジとの出会いがあっただけで、その後キジをフィールドで見かけることはなかった。

 

帰り道スーパーに寄って、ファルファーレ、スモークサーモン、新玉ねぎ、グリンピース、菜の花、生クリームを買う。ニンニクも大粒の青森産を見つけ買った。春野菜でのショートパスタが食いたくなっていたのだ。

(ニンニクは中国産だったら国産の3分の1の値段、節約しなければならない年金生活者は安価なものでいいのに手を出さずだ。かってカミサンは中国産とか原産地中国と記載された食品を購入することは全くなかった。残留農薬を大変気にしていたからだ。その影響を受けている)

本日好天。棚田100選に選ばれている畑の棚田(高島市)でも、田んぼの荒起しが始まっているだろうか。棚田の上からでも下からでも良い構図で撮れる箇所がいくつも在るのだ。長い間出掛けていない、近いうちに訪ねてみるか。