北帰行と雁風呂のこと

運転免許の更新に行った帰り道、湖岸沿いの道をドライブする。穏やかな陽射しに輝くさざなみの琵琶湖に水鳥の姿はごく僅か、しんしんと静まりかえっているという感じだ。越冬のためにシベリア方面から飛来してきていた鳥たちが北へ帰ってしまったのだ。一昨日の新聞にも ”「冬の使者」旅立つ ”というタイトルでコハクチョウの「北帰行」が本格的に始まったと報じられていた。

コハクチョウもカモの仲間もオオヒシクイなども全く居なくなる、残されたのはオオバンカイツブリ、僅かばかりの居残りのカモ、それが寂しくなった琵琶湖の姿だった。

北へ帰る水鳥の報に接すると決まって思い出す映像と物語が在る。それは半世紀ほども前1974年に放映されたサントリーウイスキー角瓶のCMだ。

寒々とした夜の浜辺で焚き火をしながらウイスキーを飲む、その映像とともに流れてくるナレーションがしみじみと心を揺さぶってくる。素晴らしCMだったと今も鮮明に覚えている。(ナレーションは青森県津軽地方の伝承「雁風呂」がベースになっている)このナレーションの最後に主演者の山口瞳(作家・エッセイスト サントリー社員)が呟く「哀れ話だなぁ 日本人て不思議だなぁ」という文句が好きで当時よく口にしたものだ。

湖岸をドライブした後はいつものキジのフィールド。面白い光景を1ショットする。

急ぎ足で間合いを詰めていて、キジがドバトの群に突っ込むのを目撃、レンズを振るのが一瞬遅れたが遅ればせながらお気に入りのショットが撮れた。

この後キジは私の接近に驚いたのか駆けるように遠ざかっていった。

晴れ渡った陽射しの所為だろう、花粉の飛散量が多いようだ。いつも以上に眼の痒みが酷いのだ。眼の奥が痛い。キジを追いかけるのを中断して田んぼ道を急ぎ帰った。