俄雨に追われて

花粉症に痛めつけられた眼の痒みの為ドラッグストアーへ目薬を買いに行く。その帰り道、雲間から降る陽光が明るさを増したのをみて、いつものフィールドへ寄り道する。タネツケバナホトケノザが咲き始めた冬枯れの田んぼの畦にキジが出てくれていればいいな、と思いながら寄り道したのだ。

タネツケバナが一面に咲く田んぼにセグロセキレイの小集団がいた。ザクッと数えた限りでは11羽ほどが点在していた。田んぼではよく見かけるセグロセキレイ。大抵が1-2羽で11羽近い小集団を見かけたのは初めてだった。

セグロじゃなく見掛けることのあまり無いキセキレイだったらいいのにな、そんなことを思いながら1ショットする。この後、ヨシ原の上を急降下してくるトビを見る。面白い動きをしているのだ。ヨシ原の近くになにかが落ちているのだろうか。

トビの飛翔を夢中で追いかけていると急に陽射しが陰る。間無し小雨がやって来た。眼を上げて見るに比良連山は灰色の分厚い雨雲に山裾まで隠れているのだ。重いヤツをジャケットの下に抱え込み田んぼ道を小走りに車へ帰る。車までは150mほどの距離、老爺には無限に続くかと思われるほどの距離だった。後部座席にカメラやバックを放り込むなり運転席に潜り込む。休み休みでの小走りだったのに動悸が激しいのだ。これまでも何度か鳥撮りの最中通り雨に追い立てられて車まで逃げ帰ったことがあったが、これほどの動悸と息切れは経験がない。今日はつくづく老いが頂点に達していることを思い知らされていた。

動悸の鎮まるのをかなり長い間待った後帰途についた。

 

 鳥撮りもいつまで続くや老いの春     風来坊