ヒクイナを見た

草深い田んぼ道は未だ十分に乾ききっていないから老爺は歩くのに難儀していた。凸凹した道の少しでも乾いていそうな所を探しながらそろりそろり歩いていて、草むらの中に小さな赤っぽい色をした鳥を見付ける。随分長い間見ることのなかった鳥、ヒクイナだった。ヒクイナにレンズを向けるが、前景の草にピントを取られて、鮮明な画像が撮れないのだ。少しづつ間合いを詰めてピントの合うポジションを探す。

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絶滅危惧種に指定されているほど数を減らしているから、見掛けることが少なくなった鳥だ。なんとか1枚欲しいと少しづつ近づいた。ヒクイナは警戒心が強く人を見るとすぐさま草むらに姿を隠すと言われているが、眼の前のコヤツは警戒心が強いとは思われないほど悠然としているのだ。

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連射しながら近づく。手を伸ばせば触れられそうな距離に至るまでコヤツはその場にいてくれた。どうぞ好きなだけ撮ってください、そんなふうに感じられるいっときだった。その後ヤツはゆっくりと草むらに潜り込んでいった。

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ヒクイナは5月から8月くらいまでが繁殖期、巣を作るのに適した場所は水辺周辺の草むらだという。ヤツが潜り込んで行ったヨシ原は格好の営巣場所だ。しばらくの間は注意深く耳をすましていなければはるまい。キョンキョンキョンとかクォンクォンコッコッコッと啼くという。楽しみが一つ増えたのだ。

本日好天、いい一日だった。