思い出せぬことの多かりし

ベランダに出るガラス戸のカーテンにクモがいるのを見つける。ファインダーを覗きこみながらこのクモの名前を思い出そうとするのだが、思い出せないのだ。よく見かけるクモだ。それに寒くなるこの時季まで姿を見せるクモはそんなに多くない。何というクモだっただろうか、記憶の中のクモの図像や名前の大半が朧になっているのだ。

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最近諸事につけこんなことが多くなっているのだ。こんなことをカミサンに話していたらカミサン曰く「生まれて以来いろんなものを覚え、たくさんのものを身に付けてきたが、老人の域に入るとそれらを少しずつ返して行くんですよ。最後は空っぽになってもいいじゃないですか」「物忘れは至極当然の成り行きですよ」

今日玄関先にいた2種の虫の名前も思い出せないでいる。

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本日まずは平穏だった。