小さな鳥の羽根

昼下がり、買い物帰りの重いバケットを持って階段を上っていた時、今日は小さな鳥の羽根を見つけた。何という鳥の羽根だろうか、拾い上げる。先日は虫撮りに出掛けたITOUさんの菜園でトビの羽根を見つけ持ち帰る。

トビの羽根と階段で見つけた小さな鳥の羽根を並べて撮る。

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羽根を並べて撮りながら2人の知人のことを思い出していた。一人は高校時代の同級生M,もう一人は情報システム関係の仕事で知り合ったKさん。

Mはペンで細密画を描くのが得意だった。高校2年生の時だったか、ブルーブラックのインクで描いた孔雀の羽根の細密画が市の美術展で優秀賞を貰っていた。多摩美大を希望していたが一浪した後は地方大学の教育学部に入り、後に中学校の美術と国語を担当していたようだった。

もう一人のKさんはソフトウェアハウスを経営していた。知り合ったのは某コンピューター会社の1週間のセミナーでだった。ワークショップが同じチームだったことから昵懇になった。Kさんは経営者であり営業マンであり、何よりも優秀なプログラマーだった。受注した仕事の納期が迫ったりするとバグ潰しに昼夜の無い日々だったようだ。

そんな過酷な中でも時に羽ペンで絵を描いていた。「頭をリセットするのに頼りない羽ペンで何かを描くことが習慣になっていましてね」こんなことを聞いたことがある。自分で削り出した羽ペンを何本も持っていた。

ファインダーの中の小さな羽根とトビの羽根を見やりながら、遠い遠い時間の向こうの光景を思い出していた。様々なことが思い出される。先々の夢を見ることが出来なくなっている老爺は、記憶の深みから様々な光景を引っ張り出しそれを喰っているのだ。

Kさんは故人、同窓会名簿に故人の印は記載されていないからMは存命だと思うが消息は判らない。

生々流転 こんなことを呟いていた。