小さな漁港の船溜まりにて

小さな漁港で釣りをしている人を見かけ車を止めた。

陽射しは暖かいが風は冷たい。

吹きっ晒しの船溜まりでは相当に寒気が身に凍みるだうが、老いた釣り人は揺るぎもなく視線を前方のウキに向けている。

一声かけて釣りの狙い物を尋ねたかったが声をかけるのを憚られる雰囲気だった。

何を狙っているのだろうか、釣り竿から見るに寒鮒狙いのようにも思えたが。

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車に帰り、ホットコーヒーとフロランタンを取り出す、コーヒーを飲みながら暫くの間釣り人の様子を眺めていた。
寒風の中で黙然とウキを見詰めているこの釣り人は、どんな老いのかたちを内に秘めているのだろうか、今何を考えているのだろうか、無念無想だろうか、老いについてどんな思いを持っているのだろうか。

さまざまなことを想像しながら釣り人を眺めていた。