キジを追いかけて(8)

車を停めた場所から双眼鏡でフィールドの様子を眺めていると、田圃廻りをしている老爺に声を掛けられた「キジを探しているのかね」。
老爺と書いたが私より年齢が下かも知れない人だ。
小柄だが頑丈そうな体躯、長年農作業にたずさわって来ただろう節くれだった指、陽に焼けた赤銅色の顔、手にしていた鍬の刃先も使い込んで小さくなっていた。
老爺の問いかけに「はい」と答えると、「そうじゃないかと思っていたよ、ここからは見えないが、あの向の草叢にキジがいるよ」と指差し教えてくれ「そこの畦道をあの木あたりまで入っていくと見られると思う」と告げてくれた。
毎日のようにここに来ている私の様子を家の近くから見ていて、キジを撮りに来ているのだろと想像していたとのこと、そのこともあって田圃廻りの途中わざわざキジがいることを教えに来てくれたのだ。

教えてくれた草叢にキジの姿は見当たら無かったが、次のフィールドではキジが出迎えてくれた。

今日のキジは機嫌がいいのだろう、何度も母衣打ちをして見せてくれた。


随分長い間付き合ってくれた。
最後は農道を横切ってテリトリーと思われる草叢へ帰っていった。

本日鳥撮り好日、それに親切にもキジの居場所を教えに来てくれた老爺にも出会えた。
河口近くのアシ原にもキジがよく現れると老爺が教えてくれた、ヒナは見ることが無かったがヒナが孵った後の卵の殻を見たとのこと、訪ねなくてはなるまい。