ムクドリとオオヨシキリと赤いトラクター

昨日に続いて今日も鳥撮りは不作だった。
耕作放棄地のアシ原にオオヨシキリは時々やって来たが、キジは啼き声も姿も見せずだ。

田を見回りに来ていた老爺の話でも、「確かに2・3日前から全く姿を見ないな、田植をする人や土手の草刈りをする人が多くなったからキジも用心して隠れているんだよ」「田植が一段落して人の気配がなくなると出てくるんと違うかい」
話し好きの老爺だった。
問わず語りにいろんな事を話してくれた。

耕作放棄田が増えたのは老齢化が進み息子の世代になって米作りをしなくなったこと。
米作りの委託をする農家も増えたが、ここらの田圃は土地が柔らかすぎて機械が沈んでしまい身動きできなくなることがしばしばあること、その為委託の田植を断られる、3年前にはトラクターが田圃の真中で沈み引っ張り出すのが大変だった。
家の庭先にもキジがくること、趣味はゲートボール、県の代表で全国大会に出場し準優勝したこと、2位だったのはチームメンバーの一人がルールの勘違いから敵の球を持ち上げてしまいその反則が原因だったこと、水田の水は上流の和邇川の洗堰から取り込む、昔は日照りが続き水不足になると水の管理が大変だったこと....等など。
老爺との話のきっかけが、キジやオオヨシキリなど野鳥の写真を撮っていることだったから、老爺は話の途中でしばしばあっ来ましたよと、私の背後のアシ原の一角を指差しオオヨシキリの飛来を教えてくれた。
オオヨシキリが翔び立ち私がファインダーから顔を上げると話しの続きが再び始まる。
老爺との会話、私は鳥撮りの時は補聴器をしていないから、多分にトンチンカンな遣り取りだっただろう。
会話は小1時間続いた、その間オオヨシキリに向けて何度かシャッターを切った。


老爺と別れた後、ムクドリオオヨシキリと赤いトラクターを撮る。


老爺との会話の合間に撮ったオオヨシキリ

5月の薫風の中、老爺との会話、鳥撮り不作だったがいい半日だった。