サルノコシカケ

風は少し寒かったが、雲一つない青空が続く気持ちのいい一日だった。
書斎の窓からは白く輝く伊吹山や湖北の山々が見え、鈴鹿山地の雪を被った山々も見えた。

買い物帰りの車の中から見た白嶺の比良連山も、青空を背景にしているだけに素晴らしかった。
この青空に浮かび上がるような比良連山と電車を組み合わせた写真を撮るのだろう、和邇川近くの田圃道に三脚を据えている撮り鉄さんが五人いた。
ここは「お立ち台」と呼ばれる撮影スポットなのだろう、三脚を据えている人をよく見掛けるのだ。
いつだったか三脚も吹き飛ばされそうな強風の日に撮り鉄さんを見たこともある。
正午も半ばを過ぎていたからトワイライトエクスプレスを待っていたのかもしれない。

撮り鉄さんに刺激されたのといい天気だったから裏山に出掛けてみた。
孟宗竹の竹林の中から雪を被った比良連山を狙うつもりだった。
だがそれは叶わずだった。
山道は熊笹が茂り、倒木が幾本も道に倒れこみ、野茨が鉄条網のように行く手を阻んでいて、目的の場所へ行けないのだ。
道をはずれて山の斜面を登り降りすれば何とかなりそうだが、体力に自信がないのだ、目的を断念する。
引っ返していてナラの枯木にサルノコシカケがくっついているのを見付けた。


雑木林を歩いている時などに時折見かけることがあるが、これほど大きいのを見るのは稀だ。
大きいと言えばもう随分昔のことだが紅葉を撮りに行った折、朽木(高島市)の山里で70cm近い巨大なサルノコシカケを見たことがある。
軒先にぶら下がっている干し柿を撮ろうと近づいた時、干し柿のすだれの向うの壁に吊るされているサルノコシカケを見付け、あまりの大きさにおおっ!となった。
自分の眼を疑うほどの大きさだったのだ。

サルノコシカケは昔から民間療法の抗癌剤として用いられることもあり、結構高値で取引されていたとのこと。
今も抗癌剤として使用されているようだから採集している人もいるのだろうか、それとも現在では中国から漢方薬として輸入されているのだろうか。

次回裏山に出掛けた折にはサルノコシカケを引き剥がして持ち帰ることにするか。