写真展にて

草津市図書館3Fギャラリーで開催中の写真展、第9回NIKA写真展(二科会写真部滋賀支部展)に行ってきた。
秀作ぞろいで見応えのある写真展だった。
カミサンも先のNPN写真展よりも今回の写真展の方にお気に入りのものが多かったようだ。
お気に入りの1点をお選びくださいというアンケートがあり、カミサンは北中實さんの「狙う・2」に投票していた。白鷺が水落際で獲物を狙っている様子を切り撮ったものだ。
私は鈴木きみ子さんの「風」と題した2点と清水靖信さんの「春めく大地」がお気に入りだったが、迷った挙句に「春めく大地」に投票した。
このことをブログに載せたいと思い当番の人に撮影の許可を貰った。


広々と広がる丘陵の畑は北海道富良野か美瑛の丘陵地帯だろうか。
その広い畑の中で何かの農作業をしている一人の農婦を捉えているのだ。
作者はこの孤影を切り撮る時どんなメッセージを託したのだろうか、いろんなことを考えながら見続けていた。

この写真を見ていて、突然、ミレーの「落穂拾い」の絵を思い出していた。
それと同時に、半世紀以上も前の中学生時代の恩師U先生(先生は国語と美術を担当し、また学級担任)のことを思い出していたのだ。
少し荒れ気味の学級を2年間担当してくれた恩師だ。

「落穂拾い」の絵を見たのも、モネやセザンヌドガルノワールゴッホゴーギャンなどの名前を知り、それらの作品に魅了されていたのも、U先生が見せてくれた西洋美術全集からだった。先生は惜しげも無く私蔵の美術書を貸してくれた。

清水さんの「春めく大地」を暫くの間見入っていた。
遠い遠い過去に通じるトンネルがそこに存在しているように思えたのだ。
長い間思い出すこともなかったU先生、ご存命ならば90歳半ばだろう。

鈴木きみ子さんの作品2点、いろんなヒントを与えてくれる素晴らしい作品だ。

カメラを使っての造形、見事だと思いながら観ていた。
落ち穂拾いのことを思い出さなければ、この作品に1票を投じていただろう。