クロヤマアリの獲物

擁壁に這うツタも老樹になっているのと一夏の炎暑に痛めつけられた所為で、秋に先駆けて落葉が多くなっている。
夕方、日陰になったのを幸いにツタの落ち葉を掃き集めていて、小さな枯れ葉が動いているのを見付ける。しゃがみこんでよく見ると小さなアリがジャノメチョウを引っ張っているのだ。



急いでカメラを取りに書斎に駆け戻る。
カメラを持出して現場に戻るまでの時間は1・2分だったが、アリが見当たらないのだ。
掃き集めている枯れ葉の間やその周辺を丹念に探すも見つからない。
アリがチョウを引っ張っていくシーンなんてめったにない機会だったのにと探しまわった。

ジャノメチョウを引っ張っているアリを再び見付けたのは、最初に見た道端から2mほど離れたブロック擁壁の上だった。
ブロック擁壁の色とジャノメチョウの色が同化していて、アリの動きが判らなかったのだ。

ほんの僅かな時間にアリがそこまで移動している動きの速さに、えっ!と言う思いだった。
アリが力持ちだということは承知していたが、その力強さを実感させられていた。
アリは巣穴に獲物を運び込もうとしていたのだ。

アリはクロヤマアリ、チョウはヒメウラジャノメだった。

ジャノメチョウはあっと言う間に巣穴に引き込まれてしまった。