ヤマボウシ

琵琶湖岸を歩いていてヤマボウシの花を見掛ける。

ヤマボウシの花を見るときまって思い出すことがある。
花にまつわることではなく秋になると赤く熟れるこの実のことだ。
このヤマボウシの実には二つの思い出がある。
一つは半世紀以上も前のいつも空きっ腹を抱えていた少年時代、赤い果肉のこの実は秋の楽しみの一つだった。
もうひとつが、5・6年前姉川の上流域へトンボ撮りに出掛けた折、ある集落の中を徐行しながら走っていて道に落ちているこの実を見付け、甘い実だったことを思い出し車を停めた。
集落内では車を停めることは憚れたので集落のはずれの空き地まで行き、200m程を歩いて引き返した。少年時代のことを思い出し無性に喰ってみたかったのだ。

農家の塀際に落ちている実の中から踏み潰されていないものを探し出し口にする。
マンゴに似た甘さだ、少年の頃この味を表現するとしたらどんな表現をしただろうか、遠い昔の頃を思い出していた。

ヤマボウシの実が熟れる頃この琵琶湖岸へ来てみよう。
一粒でいいから味わってみたいものだ。
ヤマボウシの近くのツツジの木でアカヒゲヒラタコメツキを見る。