虫こぶ

遠出した散歩の折、孟宗竹の竹林の中に赤い実を付けたアオキが在るのを見付け入ってみた。
アオキの実にも虫こぶが出来るという記事を読んだことがあるのを突然思い出し、そんな実を探してみようと思ったのだ。
非常に面白い記事だったので印象に残っていたのだ。


記事は今井健介さん(京都教育大准教授・昆虫生態学)が、京都新聞夕刊(2月26日・水)のコラム「現代のことば」に寄稿したもの、タイトルは ”「虫こぶ」のなかの秘密 ” だ。

”今頃の季節にアオキは卵型の赤い実をつけるが、その中に緑色で塾さず、所々いびつな膨らみのある実が見つかることがある。
これがアオキにできた虫こぶで、中にアオキミタマバエという昆虫の幼虫がすんでいる。”

アオキはアオキミタマバエに卵を産み付けられるのを阻止するため、若い実の内部に内果皮という皮を硬くして産卵出来ないようにするようだ。しかし、硬いままでは実は成長できないから仕方なくひび割れを起こす。
この内果皮がひび割れて出来た隙間にしか産卵管を差し込めない。
だからひび割れが出来る短い時期のアオキミタマバエだけが、産卵できるのだ。
今井健介准教授は長い間の観察と研究から、硬い内果皮を造るアオキと内果皮にひび割れが出来る頃に羽化し成虫になるように進化したアオキミタマバエの関係を、見つけ出しているのだ。

竹林の中のアオキで虫こぶらしい実を見つけたが、足場が悪くて近づけなかった。
雑木林や住宅地でアオキを見つけた時には虫こぶの実を探してみよう。
虫こぶの中を見てみたいものだ。