アリとキリギリス

昨夜は遅くまで「八千頌般若経」・梶山雄一訳 を読んでいたのに五時前に目が覚める。
いつもだったらもう一眠りするところだが、朝の爽やかさに釣られて起きだした。

気まぐれな早朝の起き出し、これが良かったのだろう「イソップ物語」の一話を思い浮かべる光景に出会うことになったのだ。

門扉の近くでアリを階段下でキリギリスを見かけたのだ。

アリはアミメアリ、蛾の翅を運んでいた。

キリギリスは脱皮したばかりのキリギリスのように見える。

終齢幼虫だろうか、背中には小さな翅が見えるのだ。
卵から孵化し、6・7回脱皮して大きくなり成虫になる。
眼の前にいるこのキリギリスは次回の脱皮で成虫になるのだろうか。

キリギリスの孵化直前の卵は緑色をしていると聞いたことがある。
見てみたいものだ。
実際に見るとすれば自分で飼育する以外にはないだろう。
キリギリスやコオロギが卵管を土中に突き刺して卵を産みつけているところは、過去に何度も目撃しているが、卵は見たことがない。
緑色の卵、小さな小さな碧玉のような卵だろうか、見てみたいものだ。

アリとキリギリスの寓話は幾通りかに解釈できる。
老兵よ、キリギリスに徹せよ、だ。そんな声がしている。
獲物を運ぶアリとキリギリスを同時に見るという偶然はもうないだろう。