老いのかたち(6)

花粉症の症状が今日は一段と酷くなり、眼の痒みと鼻のグシャグシャ感に悩まされている。
カタクリの開花状況を見るのと虫撮りを兼ねてマキノ(高島市)方面へ出掛けたいのだが、二の足を踏んでいる状態の一日だった。
この不愉快さは何時まで続くのだろうか。

読書にも倦み、気分転換と運動不足解消の為に、早めの夕方の散歩に出る。
花粉症の症状を悪化させない為には閉じ込もっている方がいいのだろうが。

桃の花が咲き始めているのを見付ける。


桃の花を撮っていた時、坂道を登ってくる顔見知りのKさんに出会い声をかけた。
「こんにちわ」という簡単な挨拶をし「ご無沙汰いたしております」と言いかけて声を飲んだ。
Kさんとはそんなに親しい間柄ではないが、ゴルフコンペで何度かご一緒したし同じ組みでラウンドしたこともあり、通りがかりにすれ違う時には挨拶を交わすお互い顔見知りだ。
知り合いの筈のKさんから応答がないのだ。
応答がないだけではなかった、突然見知らぬ人から声をかけられて驚き、胡散臭いものでも見るような眼差しで見られたのだ。
それにあっと思ったのは、いつも穏やかな物言いをし微笑を浮かべていたKさんの相貌ではないのだ。じろりと一瞥し無言でKさんは立ち去っていった。

「老いのかたち」万人に万人の老いのかたちがあり、老いの相貌がある。
人々が我知らず顔貌を変えてゆくのにはどんなことが積み重なっているのだろうか。

 年々歳々花相似たり
 歳々年々人同じからず

出来る事ならいつまでも穏やかな顔つきでいたいものだ。