けもの道

粉雪の舞う中、裏山の雑木林を久しぶりに訪ねてみた。
カシノナガキクイムシに食い荒らされたミズナラなどが立ち枯れた状態で腐りかけている。
全国的にカシノナガキクイムシが猛威を振るったのは平成19年頃から22年だ、その頃に被害を受けた木々が腐りかけて痛ましい姿を晒している、何とも無惨だ。


ナラ枯れが始まった初期の頃は被害木が伐採され処理されているのを何度も見かけたが、今ではその気配は全くない。
薪炭として利用されなくなってずいぶん長い時間が経っているのだ、積み上げられた木々も今では腐りかけている。

それに里山自体の手入れが全くなされていないのだ。
里山がきちんと管理されていた頃、この雑木林の中の小径は四季それぞれに気持ちのいい散策路だった。それが今では倒木が至る所で道を塞ぎ通るに通れない状態になっているのだ。

倒木道の代わりに雑木林の中にはイノシシや鹿の通るけもの道が出来ている。
雪で緩んだ泥んこ道には親子連れだろうか、大小の蹄の跡も残されていた。

けもの道を辿っていて、イノシシが掘り出して食ったタケノコの皮を見つける。

イノシシは土中のタケノコの在り処を簡単に見つけ出す嗅覚を持っていると云われる。
「竹林を有刺鉄線や電気柵で守らなければ人間様の口には入らないんよ」
「シシの奴はグルメじゃけ美味い穂先だけ食いより、一晩で竹林が全滅なんてこともあるんよ」
比良山麓の谷間で虫撮りをしていた折、農家の人からこんな話を聞いたことがある。