アキアカネ

昨日の彼岸花撮りの帰り道に立ち寄った畑で、アキアカネの数が多くなっているなと感じていたが、今日は昨日にも増して多くのアキアカネを見かけた。
2週間ほど前まではぽつりぽつりとしか見かけなかったアカトンボが急に増えたようなのだ。
暑さを避けて比良連峰山頂で過ごしていたアキアカネが山を降りてきたのだろか。

「赤トンボ」として馴染み深いこのアキアカネも全国各地で激減していると言われる。
大津市環境部が市民調査員を募集して「赤トンボの調査」を実施するのも、棲息の実態把握の為だろう。
観測数は1/50,000や1/25,000の2次メッシュコードの地図に記入することになっている。
調査結果のレポートが楽しみだ。

このアキアカネで思い出すことが一つある。
もう随分昔のことだが、友人4人と京大の芦生演習林に潜り込んだことがある。
当時は現在ほど入山規制が厳しくなかったし比較的簡単な手続きで入山出来た。

山に入ったのは夏の終わりの頃だった。
場所は確とは思い出せないが演習林の山の尾根でキャンプをしたのだ。
この時、日暮れ前だったが、大袈裟に言えば空が暗くなるほどのトンボが空に舞っているのを見た。
草の上に腰を下ろしてそれぞれがかなり長い間空を見上げていた。
あれから40数年、虫撮りを始めてからでも10数年経つが、あの時に見たほどのトンボの飛ぶ光景を見たことはない。
芦生の演習林へ行けば今でも沢山のトンボの飛翔が見られるのだろうか、それともそんな光景は昔の話ですよといわれるのだろうか。
空が暗くなる、そんな表現が出来るようなアキアカネの飛ぶ場所はもう存在しないのだろうか。何処かの山深い里に行けば見ることが出来るのだろうか。

トンボの大群を一緒に見た友人4人との音信が絶えてから久しくなる。
正確に言えば、4人の内一人の名前は覚えているが、他の3人の名前は思い出せないのだ。

生きて仰ぐ空の高さよ赤蜻蛉    夏目漱石