雑踏の中で

講座(イラン文化と仏教)が終わった後少し寒いがいつものコースで雑踏の中を歩くことにした。
雑踏の中を歩いていると本当にいろんな人に出会う。
今日は二人の雲水さんに出会った。
一人は四条通で、もう一人はジュンク堂河原町店で。共に若く、藍染めの衣、素足に下駄履き、頭陀袋には僧堂名なし、網代笠も持参せず。
中でもジュンク堂書店の五階で見かけた雲水さんは熱心に料理本を読んでいたのに驚いた。
経の代わりに料理本を見ている、料理好きの私には何とも言えず微笑ましく思え、いろんな事を想像していた。

こうした愉快になる光景がある反面ゾクッとするような悪寒の光景にも出くわした。
だぶだぶのジーパンを腰下まで下げて歩いている若者、当然のように膝も裾もボロボロ状態。
もう一人の若者は耳にも鼻にも唇にも、えっ!と驚かされるほどのピアスを嵌めている。
これがファッションなのだと言われてしまえばそれまでだが、老兵の価値観とは地の果てほどの遠さがある。
価値観の多様性を認めるし、自分の価値観に固執するつもりもないが、それでも寒気がする。
ファッションは自己主張だとは思うが美醜感がここまで離れてしまうとやはり恐ろしくなる。

雑踏の中でいろんな人達に出会う、だから面白いのかもしれない。
それから雑木林へ潜り込む以上に雑踏の中を撮るテクニックを磨かなければ。