オニユリ無慙

台風6号が通り抜けた後の戻りの風が吹き荒れる中、4日ぶりにPukuさんとの散歩に出る。
いつもの散歩コースで見る限りではご近所も台風の被害は見当たらない。
ガーデニングを趣味にされているItouさんの庭の草花も全く被害を受けていないようだ。
我が家のオニユリも添え木無しだったが倒れもせずにいる。

Pukuさんと郵便ポストのある角を曲がったとき、あっとなった。
7月3日の一斉草刈の時でも難を逃れた空き地のオニユリの群落が消えているのだ。
急いで近づいてみると、オニユリは台風の風でなぎ倒されたのではなく、無慙にも刈り取られ他の雑草と一緒に山積みされているのだ。

20本近いオニユリが一塊になっていただけに、花が咲き始めれば見事な群落であり、蝶たちの絶好の吸蜜場所になるはずだったのに、何という無慙か。

空き地の草刈をするのは、ほとんどが委託された草刈業者だが、この業者にも幾つかのタイプが見受けられる。

10日程前に見た60代の夫婦連れと思われる草刈人は、空き地の所々に生えているユリを傷つけまいとするように草刈をしていたし、刈り取った草を集める女の人も熊手の扱いが丁寧だった。
この作業は結構面倒だが、ユリを残すという風流があるのだ。
何とも言えず嬉しくなり心温かいものを感じていた。

そうかといえば短時間で作業を終えることだけに集中して草刈機を操ている人。
空き地の中は請負の範囲だが道路際は知らないよと草刈をしない人。
もつと酷いのは草は刈りっぱなし、周囲の道路に飛び散った草を片付けもせずに帰る人。

今回このオニユリの群落をなぎ倒した草刈人には、風流も遊び心も全くないのだ。
空き地はたしかに雑草が生い茂っていたが、オニユリの周りは綺麗に刈り込まれていた。
何故そうしてあるのか、草刈人は想像だにしなかったのだろうか。
この草刈をした人はどんな人だろうか、オニユリも既に咲いていたはずだ、花を愛でるゆとりは無かったのだろうか。
オニユリと蝶の写真が撮れなくなったという以上に、何か心に索漠さが突き刺さる。