キジの一家を見た

昼下がりはまさに炎天下、暑さに負けて鳥撮りに出掛けることをためらっていたが、家に閉じ籠つての呆け暮らしも良くないと思い、無理やりという感じで老体を引っ張り出した。炎暑の中出掛けてきて好かった。今季初めてのキジの一家を見られたのだ。

田んぼ道に入り背の高くなったヨシ原の角を回った時、遠くの畦にキジがいるのを見つけ最初の1ショット。

そろりそろり近づいていて、足元の田んぼの中でこれまで見たことのない足跡を見つけた。これは一体何の足跡なんだろうか。耕作放棄地周辺で時折見かけるイタチの足跡ではない。以前一度だけ見掛け1ショットしたアライグマの足跡だろうか。

正体不明の足跡を1ショットしてから三脚にカメラを載せ、ゆっくりと間合いを詰める。20mほどの距離まで近づきヤツと睨めっこだ。

どれくらい対峙していただろうか、突然ヤツは甲高い啼き声を上げ母衣打ちを始めた。

母衣打ちの一連の行動を終えるとヤツは元の姿勢に戻り、再び老爺と睨めっこだ。結構長い間お互いが動かずにいた。ヤツの方が先に動き出す。一段低い畦の向うに身を沈め、次に現れたのは少し離れた草むら。

ヤツの様子がどこかおかしいのだ。頭を出したり引っ込めたり、これを繰り返してこちらの様子を伺っている、そんなふうに見えるのだ。シャッターチャンスは逃したが片方の翅を広げるデスプレイと思える動きもしていた。もしやメスが側にいるのだろうかと思いファインダーを覗き続けていた。

しばらくして出てきたのはやはりメスだった。

小さいメスだなと思いながら眺めていると、不意に草むらから飛び出し来たヤツがいた。慌ててファインダーを覗き込む。メスだ、最初のメスよりも一回り大きいヤツだった。小さく見えたヤツは今年4月の終わる頃孵化したヒナで、後から出てきたヤツは親鳥のようだ。

オスも含めキジの一家が勢ぞろいしたシーンが欲しかったが、メスの親子はこちらの気配に敏感で急ぎ足でヨシ原に隠れていった。

親子がヨシ原に隠れた後オスもゆっくりと姿を消した。

本日真夏日、炎天下で一汗かいたがいい一日だった。キジの一家の家族写真が欲しいが、ヒナももう独り立ちする頃合いだ、今季は勢揃いのシーンは撮れないだろうな。